大の里のライバルは豊昇龍ではない!貴乃花が認めた意外な力士とは

2025年秋場所が終わり、相撲界はいよいよ「大の里の時代」に突入しました。
横綱として初めて優勝を果たし、圧倒的な存在感を見せた大の里。
その堂々とした取り口は、まさに平成の大横綱・貴乃花を彷彿とさせます。

しかし、その貴乃花本人が最近、驚くような発言をしていました。
「豊昇龍では、大の里に勝てない」
そして、意外な力士の名前を挙げたのです。

今回は、その貴乃花の実際の声をもとに、
横綱・大の里の強さと、彼に唯一対抗できる“天敵”の存在を掘り下げていきます。

貴乃花が語る大の里の評価

まずは、大の里に対する貴乃花の評価から。

貴乃花はこう語っています。
「大学出身なので年齢はそこそこですが、土俵を見ていると“若い”というか、怖いもの知らずですね。
立ち合いから勢いに任せて体で押していく。実際に勢いもある。
ただ、相撲人生のなかでは、どんなに調子がよくても怖いもの知らずで取れるのは1場所か2場所。そんなもんなんですよ。」

若い力士が勢いに乗る姿を評価しつつも、そこには経験者だからこその警鐘が込められています。
「怖いもの知らず」の相撲は、勢いのあるうちは通用する。
しかし、本当の横綱になるためには、その先の“怖さ”を知り、克服することが必要だと。

さらに貴乃花は、こう続けています。
「普通にやれば、大の里の1強時代になるでしょう。彼しかいない。
秋場所の相撲を見ると、追随する者はそうはいないのではないか。」

そして、横綱としての課題を明確に指摘しました。
「横綱になると、こういう相撲も取れるのではないかと欲が出る。そんな考え方は通用しない。
上がった時の力を継続して鍛えない限り、横綱は務まらない。」

貴乃花は、頂点に立つ者が最も苦しむ「維持する力」に注目しているのです。
かつて自らが背負ったプレッシャーを、今、大の里に重ねて見ているのでしょう。

一方、もうひとりの横綱・豊昇龍については、少し厳しい評価をしています。
「いかんせん体が大きくないし、下手相撲だから難しい。
上手を取って相手にのしかかっていく相撲を取れないと体力的にも大変。
毎場所、安定した相撲を取るのは難しいでしょう。」

つまり、豊昇龍の得意とするスピード相撲や下手技では、
大の里の真正面からぶつかる正攻法には対応しきれないという見方です。
このコメントを聞く限り、貴乃花は明確に「大の里の一強時代が来る」と見ているように思えます。

その人物は、横綱でも大関でもありません。
体格でいえば小兵の部類。


しかし、誰よりも速く、そして“おっつけ”の技術に優れた力士でした。

大の里のライバルは若隆景

ところが、その次の言葉が、相撲ファンをざわつかせました。
「大の里に対抗できる可能性がある力士が一人いる」
貴乃花がそう語ったのです。

その名前こそ──若隆景。

貴乃花は、若隆景についてこう語っています。
「いずれ大関になるでしょう。小兵ながら、小細工しないで前ミツを取りにいく。
相手を押し込む攻めの技を覚えれば、それなりに大の里にも対抗できると思いますよ。」

実際、2025年5月場所で若隆景は小結として12勝3敗の好成績。
そのうちの1敗が大の里戦でしたが、内容は“辛うじて大の里が勝った”という接戦でした。

貴乃花もこの一番に注目していました。
「今場所の大の里も、若隆景には辛うじて勝っていた。
若隆景との一番でわかりますが、大の里は差し相撲がそんなに得意じゃない。
中に入られた時は危なくて、体の大きさを活かして相手を振り回して勝った一番でした。」

事実として、2023年から2025年秋場所までの大の里と若隆景の対戦成績は、
大の里の5勝2敗。

数字だけ見れば大の里が勝ち越していますが、
その4勝のうち、実に3番は“土俵際ギリギリ”の勝負でした。
立ち合いで先に仕掛け、押し込んでいたのはすべて若隆景。

彼の代名詞である“おっつけ”は、相手の腕を封じて自分の間合いを作る技術。
これはまさに、貴乃花が現役時代に最も得意としていた技でもあります。

相手の力を真正面から受け止め、そこから押し返す。
派手ではないが、芯のある相撲。
それこそが貴乃花が理想とする“本物の相撲”であり、
若隆景が大の里に通じる唯一の武器なのです。

貴乃花はさらに、横綱としての課題も具体的に示しました。
「体力差でたまたま勝つのではなく、不利な体勢からも自分の体勢に持っていけるかが、横綱を継続するために必要な鍛練になる。そこが見ものですね。」

この言葉には、若隆景との対戦を通して大の里がさらに進化することへの期待が込められています。
つまり、貴乃花は大の里の強さを認めながらも、
若隆景という“小兵の挑戦者”が横綱を鍛える存在になると見ているのです。

今の相撲界は、まさに「豪力の大の里」対「技巧の若隆景」という構図。
力と技。正面と横。大と小。
その対比が、令和の大相撲をより深く、面白くしています。

貴乃花が現役時代、圧倒的なパワーを誇る曙や武蔵丸に正面から挑んだように、
今度は若隆景が大の里に挑む番です。
そしてその戦いの先に、次の時代の相撲が見えてくる。

大の里が築く新しい時代。
その前に立ちはだかる、小さな巨人。
力では敵わない。
しかし、相撲は力だけではない。

貴乃花が認めた“技の真髄”を持つ者。
その名前は──若隆景。

大の里の天敵と呼ばれる日が来るのか。
それとも、横綱が真の完成形を見せるのか。

相撲界は今、新たな物語の始まりを迎えています。

最後までご愛読ありがとうございました。
あなたも大相撲の
“次の主役”を一緒に見届けましょう。