
2026年秋場所を終え、二子山部屋の力士たちが15日間の土俵を戦い抜きました。
今回の秋場所で最も大きな注目を集めたのは、やはり幕内の狼雅と、7場所ぶりに十両へ戻ってきた生田目です。
そして、その二人だけではありません。
幕下では三田大生が5勝2敗、高原が5勝2敗、若雅が4勝3敗と勝ち越しました。
一方で、延原は3勝4敗。
同じ二子山部屋で稽古を重ねる力士たちの間でも、明暗が分かれた秋場所になりました。
では、なぜこれほど成績に差が出たのでしょうか。
そして、この秋場所の結果は、来場所の番付にどんな影響を与えるのでしょうか。
まず注目したいのが、東十両10枚目で秋場所を迎えた生田目です。
生田目は今場所、9勝6敗。
見事に勝ち越しました。
しかし、この9勝6敗という数字だけを見ていると、今回の生田目の価値を十分に理解することはできません。
なぜなら、生田目はここまで長い苦難を乗り越えて、ようやく十両の土俵に戻ってきた力士だからです。
生田目は2025年の名古屋場所から3場所連続で全休する大きなケガを経験しました。
最高位は十両5枚目。
一度は関取の座をつかんだ力士でしたが、ケガによって番付を大きく落としました。
それでも2026年に入ってからは、1月場所で5勝2敗、3月場所では7戦全勝で三段目優勝。
5月場所は5勝2敗、7月場所では6勝1敗。
そこから一気に番付を戻し、秋場所で十両復帰を果たしました。
つまり、今回の9勝6敗は単なる勝ち越しではありません。
ケガによって大きく番付を落とした力士が、再び十両の土俵に戻ってきて、そこで勝ち越したという意味で非常に大きな9勝6敗だったのです。
しかも、秋場所では思わぬアクシデントもありました。
生田目は4日目を終えた時点で2勝2敗。
ところが5日目、流行性耳下腺炎、いわゆるおたふくかぜのため休場することになりました。
十両復帰を果たした直後の場所で、まさかの休場。
ファンとしては非常に心配になる出来事でした。
しかし、ここで二子山親方が話した言葉が印象的でした。
「休場は今日まで。明日から出るんで」
親方は、生田目が1日だけ休んで6日目から再び土俵に戻ることを明かしました。
そして実際に生田目は土俵へ戻りました。

病気による休場を挟みながらも、その後しっかりと白星を積み重ね、最終的には9勝6敗。
この結果は、生田目が再び関取として戦えるところまで戻ってきたことを示す、大きな一歩だったのではないでしょうか。
そして、生田目の復活を語るうえで忘れてはいけないのが、今年の名古屋場所です。
名古屋場所では6連勝していた生田目が、7日目に勝ち越し。
その後、旭富士との対戦を実現させ、なんと序ノ口デビューから25連勝中だった旭富士を突き出しで破りました。
このとき生田目は「話題をかっさらいたい」と意気込んでいました。
そして本当に大きな話題をさらったのです。
さらに、生田目はこの一番について「応援のおかげです」と話しています。
こうした流れを考えると、今回の9勝6敗は単なる一場所の勝ち越しではありません。
生田目が再び関取として上を目指していくための土台を作った場所だったと見ることができます。
そして、生田目と同じように注目したいのが三田大生です。
秋場所の三田は西幕下15枚目で5勝2敗。
見事に勝ち越しました。

三田といえば、二子山部屋ファンなら誰もが知る、急激な番付上昇を経験した力士です。
2024年9月場所、幕下最下位格付出で初土俵。
そこでいきなり6勝1敗。
続く11月場所が5勝2敗、2025年1月場所が6勝1敗、3月場所が5勝2敗。
わずか4場所で十両へ昇進しました。
そして新十両となった2025年5月場所では8勝5敗2休。
続く7月場所では11勝4敗で十両優勝。
9月場所でも9勝6敗。
まさに一気に関取の土俵を駆け上がった力士でした。
ところが、その後はケガによる休場もあり、大きく番付を落とします。
2026年1月場所、3月場所と全休。
しかし、ここから三田の再スタートが始まりました。
5月場所で6勝1敗。
7月場所でも6勝1敗。
そして秋場所でも5勝2敗。
なんと復帰後3場所連続で勝ち越しています。
この数字を見ると、三田が再び上昇気流に乗っていることが分かります。
しかも、二子山親方は以前、三田について非常に興味深い評価をしています。
三田の新十両会見で、親方が指摘したのが「独特の感性」でした。
三田自身も「独特の存在になりたい」と語っています。
さらに三田は新十両の会見で、番付を上げて親方に恩返ししたいという思いを語っていました。
この言葉を考えると、現在の三田の5勝2敗には特別な意味があります。
一度は十両まで上がった。
ケガで苦しい時期を経験した。
そして今、もう一度幕下上位へ戻ってきた。
ここから再び十両を目指す戦いが始まります。
そして、もう一人、今回の秋場所で非常に良かったのが高原です。
高原は東幕下50枚目で5勝2敗。
こちらも勝ち越しました。

高原はまだ19歳。
2025年7月場所に初土俵を踏んだばかりの若手です。
それでも2025年11月場所から2026年1月場所、3月場所と3場所連続で6勝1敗。
5月場所は4勝3敗、7月場所は3勝4敗と少し足踏みしましたが、秋場所で再び5勝2敗。
しかも最高位は幕下39枚目まで上がっています。
高原にとって今回の5勝2敗は、再び上昇するきっかけになる可能性があります。
特に19歳という年齢を考えれば、ここからどこまで番付を上げていくのかは、二子山部屋ファンにとって非常に楽しみなところです。
そして若雅も勝ち越しました。
東幕下13枚目で4勝3敗。
若雅は7月場所で6勝1敗という素晴らしい成績を残していました。
そのため秋場所では番付を大きく上げて幕下13枚目まで来ました。
そこで4勝3敗。
派手な数字ではありませんが、上位に番付を上げた場所で勝ち越したことには大きな価値があります。
若雅は今年、5月場所5勝2敗、7月場所6勝1敗、そして9月場所4勝3敗。
3場所連続で勝ち越しています。
これはかなり注目していい流れです。
番付が上がれば、当然ながら対戦相手も強くなります。
それでも勝ち越した。
若雅にとって、この4勝3敗は今後につながる勝ち越しだったのではないでしょうか。
一方、今回少し悔しい結果になったのが延原です。
延原は東幕下12枚目で3勝4敗。
負け越しました。
ただし、延原についても今回の3勝4敗だけで判断するのは早すぎます。
なぜなら、今年1月場所で延原は7戦全勝。
幕下優勝を果たしています。

そのときの番付は東幕下54枚目。
そこから一気に幕下上位へ駆け上がりました。
3月場所は3勝4敗、5月場所も3勝4敗、7月場所は4勝3敗。
そして秋場所は3勝4敗。
番付は上がったものの、ここ最近はなかなか大きく勝ち越せない状況が続いています。
しかし、延原には最高位幕下6枚目という実績があります。
さらに幕下優勝という実績もあります。
だからこそ、今回の負け越しを「下降」と見るのではなく、ここからもう一度立て直せるかが重要になります。
そして、今回もっともファンの心に引っかかる結果になったのが、幕内の狼雅です。
狼雅は東前頭5枚目。
秋場所は6勝9敗。
残念ながら負け越しました。
しかも、前の名古屋場所では9勝6敗。
その前の5月場所も9勝6敗でした。
つまり今年の春以降、狼雅は5月9勝6敗、7月9勝6敗と勝ち越してきたところから、秋場所で6勝9敗となりました。
この数字だけを見ると、ファンとしては「なぜここで負け越したのか」と感じるのも当然でしょう。
ただ、狼雅の現在地を考えるうえで重要なのは、今いる番付です。
狼雅はすでに幕内で110勝を挙げています。

生涯戦歴も278勝224敗12休。
序ノ口、序二段では優勝経験があり、十両でも11勝4敗という成績を残しています。
つまり、狼雅は一時的に幕内へ上がってきた力士ではありません。
幕内に定着し、さらに上を目指している段階にあります。
だからこそ、今回の6勝9敗をどう受け止めるかが重要です。
幕内上位になれば、相手は当然強くなります。
実際、秋場所の狼雅は初日に欧勝馬、2日目に藤凌駕、3日目に朝乃山、4日目に一山本、5日目に藤青雲と戦いました。
そして中盤以降には尊富士、平戸海、美ノ海、宇良、琴櫻、義ノ富士、琴栄峰、熱海富士、伯乃富士と対戦。
6勝9敗という結果の裏には、幕内上位での厳しい15日間がありました。
もちろん、二子山部屋の部屋頭として考えれば、ここからもう一段上に行ってほしいという期待があるでしょう。
でも、狼雅はこれまで何度も負け越しから立て直してきた力士です。
2025年には十両で11勝4敗を記録し、2026年に入ってからも7勝8敗、5勝10敗を経験しながら、5月、7月と9勝6敗に戻しています。
だからこそ、今回の6勝9敗の後が非常に重要なのです。
そして、二子山部屋全体を見ると、今回の秋場所は決して「狼雅が負け越した場所」だけではありません。
生田目が9勝6敗。
三田が5勝2敗。
高原が5勝2敗。
若雅が4勝3敗。
この4人が勝ち越しました。
一方で、狼雅が6勝9敗、延原が3勝4敗。
まさに部屋の中でも明暗が分かれた場所でした。
しかし、ここに二子山部屋の面白さがあります。
幕内には狼雅。
十両には生田目。
幕下には三田、延原、若雅、高原。
それぞれが違う場所で、それぞれの目標を追いかけています。
そして、二子山親方が率いる部屋には、過去に大きく番付を上げた経験を持つ力士もいれば、これから一気に上がってくる可能性を秘めた若手もいます。
二子山親方自身も元大関・雅山として、現役時代に654勝582敗68休という戦績を残した力士です。
だからこそ、勝った時だけではなく、負けた時にどう立て直すのか。
そこに親方の指導力と、力士本人の底力が問われます。
特に印象的なのが、生田目の復活です。
ケガで十両から落ち、三段目まで下がった。
そこから三段目優勝を果たし、幕下で勝ち越しを重ね、再び十両へ戻った。
そして、十両復帰場所で9勝6敗。
さらに、三田もケガによる休場から戻り、5月6勝1敗、7月6勝1敗、秋場所5勝2敗。
高原も若雅も、ここ数場所で番付を上げながら勝ち越しを積み重ねています。
つまり、二子山部屋では今、若手と中堅が同時に上を目指す流れが生まれているのです。
そして、ここから来場所に向けて最も注目したいのが、まず生田目です。
9勝6敗で十両に勝ち越したことで、再び十両上位を狙う足場を作りました。
次に三田。
復帰後3場所連続勝ち越しという流れを考えれば、再十両への挑戦が現実的な目標になってきます。
そして若雅。
7月6勝1敗、9月4勝3敗と、幕下上位で勝ち越しを続けました。
さらに高原。
まだ19歳で、これから経験を積んでいく段階です。
そして延原。
1月場所で幕下優勝を果たした実力があるだけに、再び勝ち星を積み重ねれば、一気に上位へ戻る可能性があります。
そして最後は狼雅です。
今回6勝9敗。
ここだけを見れば悔しい秋場所でした。
しかし、5月9勝6敗、7月9勝6敗という実績があります。
だからこそ、次の場所でどんな相撲を見せるのか。
二子山部屋のファンにとっては、ここが大きな注目ポイントになります。

狼雅が再び勝ち越して幕内上位で存在感を見せるのか。
生田目が十両でさらに白星を積み上げるのか。
三田が再十両へ向けてさらに番付を上げるのか。
若雅が幕下上位で勝ち越しを続けるのか。
高原が19歳の勢いでさらに番付を駆け上がるのか。
そして、延原が幕下優勝経験者として再び上昇気流をつかむのか。
秋場所は終わりました。
しかし、二子山部屋の戦いはここからです。
勝ち越した力士にも、負け越した力士にも、それぞれ次の場所へ向けた課題があります。
今回の秋場所で明暗が分かれたからこそ、次の場所では誰が巻き返すのか。
誰が番付を上げるのか。
そして、二子山部屋から次に十両、幕内へ駆け上がる力士が誰になるのか。
ここからの二子山部屋は、ますます目が離せません。